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第13回:メロディ・ガルドー

 「これが新人か!?」とおもわず言いたくなるような“大ベテランのオーラ”を放つ女性シンガーが現れた。去る2008年7月12日、オランダのロッテルダムで行われたノース・シー・ジャズ・フェスティヴァルの2日目に出演したメロディ・ガルドーのライヴを観て、彼女の“大物ぶり”にノックアウトされてしまった。
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Melody Gardot

そのステージは……
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Melody Gardot Live
 ロングの金髪にうすい色つきメガネと真っ赤な口紅ですらりとしたスタイル。ステッキを持って薄暗い舞台に登場したガルドーは、まずはたったひとりでスキャットを披露。その瞬間から聴衆を自分の世界にしっかりと引きずり込んだ。2曲目からはトランペットとベースとドラムをバックに歌い、さらに自らもピアノを弾いたり、アコースティック・ギターで弾き語りも観せる。
 彼女の本国アメリカやヨーロッパでは今年の春に発売され、もうすぐ日本でもこの8月27日にリリースされる彼女のデビュー・アルバム『夜と朝の間(はざま)で』(UCJ/原題:Worrisome Heart)に収録された曲(すべてガルドーの作詞作曲)の他に、「Ain't No Sunshine」や「Over The Rainbow(虹の彼方に)」などのスタンダードも織り交ぜたそのステージでは、女性ジャズ・ヴォーカルの巨星ビリー・ホリデイやエラ・フィッツジェラルド、ニーナ・シモンなどに通ずる個性的な歌いっぷりだけでなく、ピアノを弾く時に椅子に座ってハイヒールを脱ぎ捨て、弾き終わると今度はそのクツを素足で探るが片方が見つからず、「シンデレラ症候群かしら(笑)」などと冗談を言ったり、自分の黒い網タイツのほつれをMC材料にしてしまうという開けっぴろげな余裕も見せてくれた。飾り気のないそのしぐさが身近な女性を感じさせなくもないが、それと同時に「我々には手の届かないとてもスペシャルな存在」という絶対的な雰囲気も強烈に放つ。美しくも妖しい魅力を振りまきながら、ジャズ特有の深み、物悲しさやけだるさといったものをこれだけ自然に表現することができる女性歌手には、ここ最近お目にかかっていなかった。
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シンデレラ症候群!?

 米国フィラデルフィア出身のシンガー・ソングライター、メロディ・ガルドーは、現在23歳。彼女の公式サイト(www.melodygardot.com 現在このサイトは行方不明?)によると、ガルドーは19歳のときに自転車で車にはねられて重傷を負い、その後遺症のため今でもサングラスとステッキが離せないという。いろいろな情報を総合すると、その事故は下半身麻痺や記憶障害(一時的なもの)、さらに視覚聴覚等の障害をともなう生死に関わる重大なものだったらしい。しかし彼女は、医師の勧めにより以前から好きだった“歌う”という音楽セラピーを行い奇跡的な復活を遂げたそうだ。なるほど、彼女の歌の深みが半端じゃないのは、そんな背景も大きく影響しているのであろう。
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写真はすべて2008年7月12日、ノース・シー・ジャズ・フェスティヴァルのステージから。

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by ReijiMaruyama | 2008-08-13 06:18 | Musician / Interview